惑星異聞【白】 1-7

 第七領区ファルラックのフォレスティは、発達した科学文明と『魔法』と呼ばれる精神文明が同居する惑星グライアの南半球に位置する星諏(セイス)大陸にある一都市だ。樹海とも呼ばれるエルヴェール大森林沿いの集落が次第に大きくなっていった都市で、昔から変わらず樹海にへばりつくかのように存在している。常に自然の驚異にさらされ続けてきたこの都市の住人は、それゆえに自然と共存することを大切にしてきた。
 そのせいか、首都である珠苑樹(シュエンジュ)と比べるとかなりのどかな雰囲気が漂っている。すぐ背後にどこまでも続く緑の森が広がっているせいもあるだろうが、いちばんの違いはあまり高層の建築物がないということだった。
「……まー、おかげでうっかりビルにぶつけたりする心配はねぇけどな」
 何をうっかりビルにぶつけるつもりだったのかは知らないが、仏頂面でフォレスティの空港に降り立ったシヴァはそう呟いた。
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