フェアリーテイル 1-1

 けたたましく鳴る呼び出し音が椙崎当耶を叩き起こしたのは、まだ太陽が東の空にある時間だった。
「……おい」
 電話が鳴っているわけではない。この音は、どう聞いても玄関のインターフォンが鳴らす呼び出し音だ。普通に考えれば、この家に客が来たということになる。
 学士課程の修了がかかった論文を不眠不休で仕上げ、そのまま友人どもとの飲み会になだれ込んだのは昨日のことだ。そのままそのどんちゃん騒ぎはいつまでも続き、解散になったのは深夜どころか明け方だった。日の出を拝みながら帰路につき、自宅の玄関に足を踏み入れた先の記憶はすでにない。起きたときにちゃんとベッドに潜り込んでいたことが、すでに奇跡だ。なんて健康的、かつ学生らしい生活だろう。
 そんなわけで、当耶は午前中に起こされるなんて夢にも思っていなかった。アルコールの抜けきっていないぼうっとした頭を押さえつつ時計を見てみたら、まだ朝の7時を過ぎたばかりだ。目が覚めたことそのものが不思議でもある。
「……るせぇよ、ったく……」
 ぼそりと一言呟いて、当耶はふたたび布団に潜り込む。だが連続で鳴り続けるインターフォンが、それを許してくれそうもなかった。放置されっぱなしでもあきらめることなく、しつこく呼び出し音は鳴り続けている。
 ピンポーン。
 ぴんぽーん。
 ぴぽぴぽぴんぽーん。
 来客の方も退屈なのか気が急いてきたのか、鳴らし方がせわしなくなってくる。
「あーもーわかったよッ! 出りゃいいんだろ出りゃ!」
 結局、先に音を上げたのは当耶だった。
 観念したのかやけくそ気味にそう叫ぶと、頭から被っていた掛け布団を腹立ち紛れに蹴り上げる。蹴られた掛け布団はふわふわと空中を情けなく漂って、ベッドの角に引っかかった。


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惑星異聞・シーファン兄弟6人目の話。冒頭30行を書いたきりかなり長いこと放置していたものですが、そんな中途半端なことこのうえない雑文でも読みたいという奇特な方がいらしたのでとりあえずさらしておきます。

約束は果たしたぞ、れおくん!(あともう5〜6行あった……もちっと増やして載せとくよ……)

旧虚構文書・零からの移植につき、いただいたコメントもここにまとめてはりつけ。

■れお
不幸な青少年キターヽ( ´▽`)ノ
ピンポンダッシュならぬピンポン連打の主はもしや不幸の元凶ですか。

などと妄想しつつ続きも期待して舞ってるよー(一発変換)。
仕事の息抜きででもぽつぽつよろしく( ´▽`)ノシ

■さとり
今日はー、お邪魔します。にょ、6人目は和名(?)なのですかー。続き楽しみにしてます〜(^^)

■いお
は、説明不足でごめんなさい。6人目の話ですが、6人目まだ出てません……っ。
6人目も横文字名前です(笑。

■さとり
あ、やっぱりそうですよねえ(^^; 後で考えたら姓が違うだろ自分〜 みたいな(自爆)(気になってFEの過去ログも見てしまった…)<横文字

■藍
「椙崎」の読みが「すぎさき」であるということを1分くらいで思い出しましたよ!(いばれない)
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