惑星異聞【白】 2-4

「だああっ、ンなトコでのほーんとしてる場合じゃねーじゃんか!」
 守るべき対象が己を囮にしていたという事実は、まあいい。常識的に考えるとまったくよくないが、守るべき対象をシヴァ自身が囮として使ったことは過去何度かある。特に怪我をさせたりしたわけではないが、当然その後シヴァは減俸処分をくらった。
「そうとも言いますね」
 なにやら大きめの紙を広げつつ平然とそう言い切った依頼人に、万が一のことがあってはならない。それは鉄則だ。同じコマンドのパートナーであれば怪我をさせようが少々いきすぎて再起不能に陥らせようが減俸で済むが、依頼人になにかあってはメリー・ウィールの信用にかかわる。そんなものがあるのかと問われるとシヴァには何も言えないし、そもそも仕事の相棒を再起不能にするのは減俸で済むような問題でもないのだが、とりあえずシヴァがこのままではまずいと危機感を覚えただけでも上出来だ。
 少なくともシヴァの目の前にいる少年は、根性はすわっているし度胸もかなりありそうではあったが、爆発に巻き込まれたときにケガひとつせずにすむほど頑丈にはとても見えなかった。
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