Column … Games for Ladies -1-


某サイトの某コーナー用に書いたコラム+そこでは書けなかった本音


 


■第1回■女性向けゲームとはなんぞや?

◆ビジュアル重視で何が悪い


「女性向けゲーム」。これは一体、なんだろう?

いわゆる、可愛い女の子や美人がたくさん出ていて恋愛を楽しむシミュレーションやアドベンチャー(一般向け、成人向け含む)が「男性向け美少女ゲーム」なら、可愛い男の子や美形がたくさん出ていて恋愛が楽しめるゲームが「女性向けゲーム」ということになる。

ただ、そう定義してゲーム界を見回しても、胸を張って女性向けと謳われているゲームは片手の指で数えるほども出ていない。『アンジェリーク』シリーズ(光栄/NEC-HE)と『アルバレアの乙女』(マジカルクラフト/NEC-HE)だけだ。成人向けのパソコンゲームを見てみれば、ひとつもないに等しい(『超・天然隊』(PNC)は、もしかしたら女性向けにも分類されるかもしれないが)。

女性のゲームユーザーは、男性に比べればかなり少ない。だから、その少ないユーザーのためのゲームが出る、ということはほとんどない。結局、とくに女性向けとは明記されていないゲームの中から、女性でも楽しめるゲームを探すわけだ。そして、一般的な男性が美少女、美女、性別問わずかっこいいものが好きなように、一般的な女性は美少年、美青年、性別問わずかわいいものが好きである。
ということで、同じプレイするなら見ていて嬉しい・楽しい、「好きなものがたくさん出てくる、すなわち顔のいいキャラクターがたくさん出てくるゲーム」にユーザーが集中するわけだ。当然、ゲームとしての出来がよければ言うことはない。反対に、キャラクターに反発を覚えてしまうと、いくらゲームとしての出来がよくてもやる気が失せてしまう。思い入れの問題なのかもしれないが、ゲームの中でくらい美形がたくさん、という夢を見ていたっていいじゃないか、という心のあらわれのような気もする。

それでもって、一部の女性ゲーマーが求めているのは、上記の条件にプラスして「邪推できるシチュエーションがある」ことだったりする。

そう、やおいは乙女のたしなみ(ホントか?)。少なくともココをのぞいてくれている女性ゲーマーにとっては、それは重要なファクターである(はずだ。……ホント?)。というか、すでに目が曇っているから、ちょっと顔のいい男性キャラが2人以上登場すると、ついついそっち方面のカップリングを考えてしまう…よね?

「なんで?」と聞かれても困るけど、ほぼ無意識なんです。条件反射なんです。いいじゃない、夢を見させてくださいな……。


◆女性が楽しめるゲーム・一例


たとえば、『悪魔城ドラキュラ 〜月下の夜想曲』(コナミ)。これは、前作までのシリーズは、ちょっとワイルドな主人公がムチを武器に活躍するアクションゲームだった。当然、プレイしていたのは男性ユーザーが多い。というか、よほどのアクションゲーム好きでない限り、自分でプレイしようという女性は少なかっただろう。
が、この月下の夜想曲になったらキャラクターデザインが一新した。しかも主人公が、線の細い美形のダンピール、アルカードになった。アクションゲームであることは同じだが、主人公が変わっただけで、アクションひとつひとつが嫌みなほどにかっこよくなってしまった。
もちろんアクションゲームとしての出来は、かなりいい(それなりに技術はいるが)。そして、どちらかというと女性の目は、ゲームシステムや難易度よりはキャラクターにいく。主人公がとっても美形でかっこよいという一点のみで、たとえそれが苦手なアクションゲームであろうとも、難易度がどれだけ高かろうとも、買ってしまった女性ユーザーは少なくないだろう。実際、私は買ってしまった。アクションゲームはスーパーマリオしかクリアしたことなかった私には、かなり自殺行為に近いものがあった。攻略本がなかったら、アルカードにうめき声しかあげさせられなかったに違いない。

もしプレイステーションを持っているのにこれを持っていない女性ゲーマーの方がいたら、ぜひ購入をおすすめする。ビジュアルは綺麗だし、サウンドもいいし、キャラクターの声もいい。こまめにセーブしつつレベルアップを怠らなければ、少々アクションの腕がなくてもなんとかクリアできる。ストーリーの進め方でエンディングは変わるし、一回クリアすればリヒターでもプレイできるので、楽しみも数倍だ。ただ、アルカードの優美な動きに慣れてしまうと、リヒターが野蛮人に見えてしまっていけないが。

ほかに有名なところでは、『ファイナルファンタジー7』(スクウェア)がある。もっともファイナルファンタジーはシリーズ代々女性ユーザーには根強い人気を誇っているので、今さら言うまでもないような気はするが。ファイナルファンタジー系の展開が嫌いでなく、プレイステーションを持っている女性ユーザーは、やってみてほしい。キャラクターにずぶずぶにハマるか、シナリオ展開に拒否反応を示すかは、個人差によるだろう。フィールド画面のポリゴンのキャラクターだけはどうしても納得できないが(あのハンマーのような手だけはなんとかしてほしかった)、それ以外のビジュアル、音楽は文句なしに楽しめる。クラウド、ヴィンセント、シドと、男性キャラだけでパーティを組むのもまた一興。セフィロスが仲間になってくれたら、とつい思ってしまったのは、きっと私だけではないだろう(そう思いたい)。

しかもアルカードの戦う相手がリヒターだったり、パパだったり。なまじアルカードが耽美なキャラなだけに、萌えるものがある。とりあえず置鮎氏演ずるアルカードのうめき声もなかなか色っぽいので、アクションが苦手な人でも満足できるかも(さすがにそれはムリがあるだろうってば)。

マリアなんてどうでもいいから、リヒターがアルカードの後を追っかけていくエンディングが欲しかった、と思ったのは私だけでしょうか。でも、基本はリヒター×アルカードです(というか、アルカード受けが私の中では基本です……)。

FF7は、もう今更言うべきこともないでしょう。セフィロス×クラウドはスクウェア公認カップルという噂もあることですし、思う存分煩悩に浸るしか。


◆女性向けジャンルの草分け『アンジェリーク』


スーパーファミコンのソフトとして女性向け恋愛・育成SLG『アンジェリーク』が発売されたのは、ちょうど恋愛・育成SLGとして最大のブームを巻き起こしたであろう、『ときめきメモリアル』の全盛期の頃だ。

初の女性向けゲームということで期待はしていたのだが、とにかく前情報が少なかった。ほとんどなかった、と言ってもいいかもしれない。ゲーム雑誌にもほとんど載ることはなく、発売後も別に攻略が掲載されるわけでもない。あの頃を思い出すと、今のアンジェリークブームが信じられないほどだ。それほどメディアに取り上げられなかったソフトなのに、なぜここまで広まったか。プレイしたユーザーの口コミである。買った人が友人にすすめ、その友人がまた他の友人に、の繰り返し。今の世の中はパソコン通信というありがたい情報ネットワークもあるので、じわじわとアンジェリークは人気を広げていった。気がつけばPC−FXに移植され、PSやSSでも遊べるようになり、『アンジェリークSpacial2』も出た。今度はシステムを一新、RPGとして登場する。

歯に衣を着せずに言ってしまうと、アンジェリークは「ゲームの出来」という面から見れば、さほど大したソフトではない。何しろまったく育成せずに親密度アップに務めているだけで大陸に人は増えていくし、その大陸が守護聖1人だけの家で埋め尽くされても女王になれてしまう。細かく見ていけば穴だらけではあるが、それでもプレイした女性ユーザーはなんだかんだで何度もプレイし、守護聖とのエンディングを見ようとがんばっただろう。これだけの情熱を引き出すのは、ゲームシステムではない(穴だらけなだけあって難易度は低いので、何度もプレイしやすい、というのはある)。ひとえに、キャラクターの魅力だ。ハードはSFCだったが、画面は綺麗だった。それになまじ雑誌情報がほとんどなかった分、守護聖とのエンディングを見つけること自体が大変だったので、セリフ集めや攻略法探しにも熱が入った。懐かしい話である。なんといってもセーブとロードを頻発するこのゲームにおいて、ハードがSFCというのは非常に助かった。読み込みに時間がかからないからだ。

個人的なことをいえば、私はアンジェリークシリーズの中では初代SFC版がいちばん好きだ。ゲーム中の顔グラフィック(特にオスカー)がいちばん綺麗だったような気がするのは、気のせいだろうか。声を聞いたりアニメを見たいなら、FX版の『アンジェリークSpecial』をおすすめする。PS版やSS版のほうが入手しやすいのはわかるのだが、あの縦長の顔だけはどうしても馴染めない。

『2』はパラメータの追加やさまざまなイベントの追加によって、初代での問題点であった「ゲームとして面白い」という部分も、かろうじてクリアしていた。しかし初代をやりすぎたのか、新鮮な感動はなかったような気がする。あとで、恋愛関連のイベントに期待しすぎていたせいだと気づいたが。それでもビジュアルは綺麗だったし、アニメも綺麗だった。会話での上半身のグラフィックはどうもキャラによる差が激しかったが(たとえばリュミエールはものすごく綺麗なのに、ジュリアスは今一つ目に生気がない、など)、それでも女性向けゲームを語る上では、避けて通れないものだろう。

もう「らーよの部屋」では2回に分けて、言いたいことをすべて言い尽くしてしまった『アンジェリーク』のシリーズ。今このコラム用に書いた原稿を読み返してみても、我ながらほめているのかけなしているのかわからない。

でもとりあえず、ドはまりしたのは事実。守護聖に萌えたのもホントのこと。このゲームのおかげで、人生踏み外し……あわわ、変わったのも一部事実です。ゲームとしていいデキのものだけが萌えられる、ってわけじゃないのよね。アンジェリークというゲームは、当時の女性ユーザーが求めていたものにピタリと当てはまったんでしょう(今でも、私はアンジェがとっても素晴らしい出来のゲーム、とは言えません)。

ゲームとしての出来は『2』の方が良かったけど、評判は『1』のほうがいいしね。ちなみに私はジュリアス様ファンなので、絶対に1のほうが好きです。でも、セイランも好き。セイラン×ジュリアス求む(ないよ、そんなの)。……クラヴィス×ジュリアスの甘々でもいいからさ〜〜、誰か読ませて〜〜(涙)。


◆アンジェリーク 〜天空の鎮魂歌〜


銀河に点在する宇宙のうちのひとつで、革命が起こった。首謀者は、その宇宙を統べる「皇帝」の第二皇位継承者、レヴィアス。革命は失敗に終わったが、レヴィアスは逃亡に成功した。ところが魔術師たちが張った結界に阻まれ、ふたたび革命を起こそうにも元の宇宙に帰れなくなってしまう。自ら「皇帝」と名乗ったレヴィアスが復讐を誓ってたどり着いたのは、金の髪のアンジェリークが治める宇宙。宇宙を征服し、力をためて故郷を取り戻そうとするレヴィアスは、その強大な力で女王アンジェリークと守護聖を拉致、監禁してしまった。ただ1人彼の手から逃れることができた女王補佐官ロザリアは、茶色の髪のアンジェリークの宇宙に助けを求めた……そして、アンジェリークの冒険がはじまる。

というわけで、アンジェリークの第3弾はロールプレイングゲームとなる。主人公は、『2』で登場した茶色の髪のアンジェリーク。守護聖や協力者の力を借りて、宇宙の危機を救うことになる。全体の雰囲気はシリアスだが、当然、恋愛イベントも幸せなものから切ないものまで盛りだくさん。自由な恋愛を楽しめるのだ。

まずゲームがスタートしたら、主人公は女王試験のときの協力者の力を借りるために、仲間探しの旅に出る。協力者が揃ったら、次は守護聖の救出に。守護聖を全員助け出したところで、ようやく本当の冒険がスタートするのだ。守護聖、協力者に加えて新しいキャラクター、アリオスも登場し、主人公に力を貸してくれる。アリオスの目的やその正体は、まだ謎のまま。発売日は未定だが、待ち遠しいソフトだ。

どんどん発売日が延びる『天空の鎮魂歌』。いかにも「待ってます」的なことを書き連ねているが、じつはあまり期待はしていない。

どうせならRPGにしないで、ロイヤルブラッド系のシミュレーションRPGみたいにすればよかったのに〜、というのは個人的な願望。それとか、カードゲーム形式とかね。なぜそんなことを言っているかというと、どうしても画面写真を見る限りではおもしろそうに見えないからだったりするからです(……これでもアンジェのファンなんだってば)。

私の見当違いだったらいいんですけどね。そろそろ、守護聖や教官といったキャラクターさえ出しておけばファンが満足する、という考えは捨ててもらいたいものです。それでも、出れば買うんだろうって? ええ、多分買うでしょう。ただし、その後があるかどうかはアンジェRPGのクオリティによるんじゃないでしょうか。

真面目な話はここまでにして、この先はまったくの個人的な願望。守護聖同士の恋愛イベントとかがあったらもう萌え萌えなのにな〜(笑)(あるわけね〜よ)。一回クリアしたら裏モード発動で、守護聖同士がカップルになれるとか。でも、こういうシチュエーションを望んでいる女王候補もいると思うんだよなあ(笑)。特にこのRPGの場合、アンジェはもう女王なわけでしょ? しばらく恋愛はおあずけなら、そういうコトで心を慰めるっての、ダメ?(慰められないって? 慰められる堕天使女王もいるんだい)


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