時刻は午後5時過ぎ。京一は学校が終わると、今日もまた、龍麻の部屋へと上がり込んでいた。 「なァ、ひーちゃん・・・シていい?」 ちょっと首を傾げて、子供の様におねだりしてみる。 しかし、その仕草も龍麻には通用しなかった。
『バキッ』
「い、いってェ〜。何すんだよォ〜、ひーちゃ〜ん。」 「何する、じゃないだろう! 昨日もそう言って2回もしたじゃないか!」 どうやらおねだりが通用しないのは、京一の日頃の行いの所為らしい。 しかし、京一は右手の指を三本立てて、訂正する。 「違うよ、ひーちゃん、3回。 ・・・よく覚えてないほど良かったのか?」
『バコンッ』
ニヤニヤと笑う京一の頭へと、龍麻が投げたお盆が当たった。 「バカッ!!」
『まったく・・・人の気も知らないで・・・。お前はいいかもしれないけど、俺はこう毎日じゃ結構辛いんだぞ。』 そう、実はここ連日なのだ。京一がやって来て、そのままなだれ込んでしまうのは。 ぶつぶつと呟きながらも、京一のためにコーヒーを入れる。自分にはホットミルクだ。 カップを乗せたお盆を持ち、部屋へ戻り、コーヒーを渡す。 「あれ? ひーちゃんはコーヒーじゃないのか?」 「・・・だっ、誰の所為でコーヒーが飲めないと思ってるんだよ。」 「へッ!?」 コーヒーは刺激物。飲んだ場合、その刺激が行くのは当然、排泄場所となるわけで・・・(以下略) 「と、とにかく、お前は何で毎日毎日そうヤリたがるんだよ・・・。」 「そりゃ、俺はいたって健康な男子高校生ですからァ〜。」 好きなヤツと二人っきりになりゃ、ヤりたくなるわけでェ〜。 ふざけた口調で答える、京一。 それを聞き、思わず頭を抱えてしまう、龍麻。 「はぁー。 ・・・お前、あんまりヤってばかりいると、バカになるぞ。」 「・・・・・・。」 それはひーちゃんも一緒だろ? という言葉をかろうじて飲み込む京一。少しは学習能力もあるらしい。 「ほら、それ飲んだら、今日は帰ってくれよ。お前の所為で、洗濯物も溜まってるんだから。」 普段は、家に帰ってから洗濯をするのに、京一が来るため、その時間が無くなってるのだ。 「・・・ひーちゃんのいぢわるぅ〜。」 「カワイコぶってもダメ。」 だが、飲み終ったカップをお盆に乗せ、流しへと向かう龍麻の背に、京一の悲痛な声がかかる。 「・・・だって、不安なんだよ、俺。・・・ひーちゃん、柳生のヤローに切られて5日も入院して、やっと退院したと思ったら、今度は3日も昏睡状態で・・・。」 「・・・京一。」 「もう2度と眼が覚めないんじゃないか、もう俺に笑ってくれないのか。んなことばかり考えちまって・・・恐かった。」 普段からはとても想像できないような京一の姿に、龍麻の心は切なくなる。 「ゴメン・・・、心配かけて・・・。」 うなだれる京一の頭を、両腕で抱え、そっと囁く。 「だから、ひーちゃんが俺だけを見て、俺のこと一杯感じてくれるのを見てると、すっげー安心できるんだ。」 答えながら、顔を上げ、真っ直ぐ龍麻へと視線を向ける。 ---縋るような眼差し。 その瞳に、思わず見とれてしまっていた龍麻の唇が、京一の唇で塞がれる。 慌てて逃げようとするが、もう遅い。 「はぁん・・・んん・・・」 深く口付けられ、頭の芯がしびれ出す。 京一の唇が、首筋の弱いところへ移った時には、龍麻の抵抗は終わりを告げていた。 「ひーちゃん・・・俺を見てくれよ・・・。」 恥ずかしさに、ぎゅっと眼を閉じていた龍麻の顔を自分へと向けさせる。 「きょ・・・おい・・・ち・・・」 快感で潤んだ龍麻のその瞳は、京一の身体を一気に煽り立てる媚薬。 京一は、龍麻の身体を軽々と抱えて立ち上がり、ベッドへと運ぶ。 シャツもズボンもあっというまに剥ぎ取り、自分の視線の下に晒す。 羞恥に全身を染めたその姿を、自分以外の誰も知らないと思うと、優越感が溢れてくる。 覆い被さり、額から足のつま先まで、身体の一つ一つの部分に自分の所有印を押して行く。 口付けが落ちるたびに、龍麻の口からは艶のある声が溢れ、身を捩らす。 「・・・もっともっと俺を感じてくれよ・・・。」 そうして股間へと顔を移動させ、ゆるく立ち上がった物へと舌を這わす。 「ひっ・・・はあぁっ・・・」 裏側を舐め上げ、くびれに歯を立て、袋を揉みしだく。 僅かなうちに龍麻の分身は大きく変化を遂げていた。 それを見届けた京一は、龍麻の足を抱えあげ、最後に残った一ヶ所へと舌を這わす。 「あっ・・・んん・・・イヤ・・・」 連日京一を受け止めてきたソコは、すでに京一を誘い入れるべく、ひくひくと蠢いていた。 龍麻の上の口からは否定が溢れ、下の口からは歓喜が溢れる。 「ホントにイヤ?ひーちゃんのココは喜んでるぜ?」 「はぁ・・・んっ・・・んんっ・・・イイ・・・」 指を一本差し入れ、緩やかに抜き差しすると、上の口から溢れる声は、歓喜へと変わっていく。 「・・・ひーちゃんの身体は、ひーちゃんより正直だな。」 嬉しそうに呟き、指を二本へと増やす。 「あんっ・・・ん・・・もっと・・・もっと奥・・・」 ついには、通常なら絶対に口にしないような言葉まで飛び出す。 「・・・指じゃこれ以上届かねェぜ?」 さっきのお返しとばかりに意地悪すると、龍麻は、キッ、と濡れた瞳で京一を睨みつける。 だけど、それは長く続かない。やがて顔を背け小声で告げる。 「入・・・れて・・・京一の・・・」 ・・・あちゃー、やりすぎちゃったか・・・? 「・・・ゴメン。ひーちゃんがあんまり可愛いから、つい意地悪したくなった。」 そんな龍麻の様子に反省し、そう告げると、龍麻は僅かに首を振る。 「ううん、いい。今は京一が欲しい・・・早・・・く・・・」 か、可愛い・・・可愛い過ぎるッ!! 思わず感動した京一は、いそいそと龍麻の足を抱えなおす。 そうして狙いを定めた後は、一気に突き入れた。 「はっ・・・ああっ・・・」 苦痛に声を上げる龍麻。だが京一が最奥まで到達するころには、そこからも快感が滲み始める。 「ひーちゃん、好きだ・・・だから俺を見てくれ・・・俺をもっともっと感じてくれ・・・。」 「きょ・・・い・・・ち・・・ぃ・・・」 次第に早くなる腰の動きに意識が白濁する頃、龍麻の分身は欲望を宙へと吐き出した・・・。
「んー。ひーちゃん、愛してるぅ〜。」 「懐くな、バカッ!」
『ガツンッ』
抱きついてきた京一に肘鉄をかますと、龍麻は思わずため息を漏らす。 『・・・はぁ・・・なんでこうなるんだ・・・結局また今日もヤッちゃったなんて・・・』 しかも良く覚えていないけど、今日は飛び切り恥ずかしい事を言ったような気もして・・・ 「いってェよォ〜。ひーちゃん、俺の事嫌いなんだァ〜。」 「ああ、大嫌いだよ。」 嘘泣きを始める京一に、冷たく言い放つ龍麻。 「あーあ、素直じゃねェなァ・・・ヤッてる最中は、ほーんと素直で可愛いのに・・・」
『ベキッ』
よせばいいのに、馬鹿正直に感想を漏らす京一の頬へと、龍麻の拳がめり込む。 ・・・恐らく明日には痣になってるだろう・・・。
------龍麻は気付いていない。こうなる原因の半分が、結局自分も京一にべた惚れしてるからだとは・・・。 |