a Day in their Life

朴 な 日

そぼく・な・にちじょう


 

 

「なァ、ひーちゃん」

「なんだ?」

「俺、ずっと疑問だったんだけどさ」

「なにが?」

「援軍の連中だよ、援軍の」

「……どこが疑問?」

「疑問に思ったことねェのかよ、けっこーノンキなヤツだな」

「京一には言われたくないけどな。で?」

「むちゃくちゃ含みがないかソレ……」

「気にするな。で、何が疑問なんだ?」

「どうやって、増援の連中呼んでるんだよ? 最初は携帯かなんかかと思ってたけどよ、地下だろうが異空間だろうがお構いなしに繋がる携帯なんかねェよな。しかも、1ターン目に来るやつらってありゃどーゆーことだ? どこでもドアでも持ってんのか?」

「あれ、京一、知らなかったのか?」 

「知らなかったって……なにを」

「あれは、魔人サインで呼んでるんだ」

「…………魔人サイン?」

「ほら、ウルトラサインってあっただろ? あれと同じ原理で呼び出しかけてるわけ。これなら電波なんて関係ないし、空間を利用してるからどこででも見られるだろ?」

「ウルトラサインって……ひーちゃん、ネタ古すぎ……」

「どこでもドアが速攻で出てくるヤツに言われたくないな。大体、ウルトラサインで話が通じること自体、おまえも同類じゃないか」

「う……じゃ、じゃあ、1ターン目で来るヤツはどー説明するつもりだよ!」

「それは……やっぱり、愛の力じゃないかなあ」

「あ……愛ィィ!?」

「そ、愛。『好感度=愛』だろ? 愛の力が大きければ大きいほど、瞬時に俺のところに来れるってことで」

「……ひ、ひーちゃん……性格変わったか? 大体、ひーちゃんへの愛つったら俺がいちばん大きいに決まってるだろーがッ!」

「……冗談に決まってるだろーが、バカモノ。そこでムキになるなよ」

「……俺、たまにひーちゃんの考えてることがわかんなくなるんだよな……」

「京一に見抜かれるようじゃ、問題あるしねえ」

「……とりあえず、それあっちに置いといて。で、1ターン目に駆けつけてくるヤツらは、どーやって来てんだよ!」

「俺が知るわけないだろ、そんなこと。気がついたらいるんだよ」

「ってことは……いわゆる、アレか?」

「アレってなんだよ、アレって。まあ、俺の追っかけってとこ?」

「……冗談だろと言いてェけど、あんまり冗談に聞こえない……つ〜か、それが正しいような気もする……」

「ストーカーって言うより、聞こえが悪くないだろ? それに、別に害は受けてないしな。助けられることはあっても」

「似たようなモンだろ……」

 

 

 



 

 

「なァ、ひーちゃん」

「なんだ?」

「俺、ずっと疑問だったんだけどさ」

「なにが?」

「報奨金のことだよ、報奨金」

「……どこが疑問?」

「疑問に思ったことねェのかよ、けっこーノンキなヤツだな」

「京一には言われたくないけどな。で?」

「むちゃくちゃ含みがないかソレ……」

「気にするな。で、何が疑問なんだ?」

「毎回毎回、俺たちって相当な金額を報奨金で貰ってるだろ? なのに、なんでいっつも俺たち金がねェんだよ! 最終話近くじゃ、なんか四千万円とか持ってるんだぜ。一般高校生の持てる金額じゃねェよな」

「あれ、京一、知らなかったのか?」 

「知らなかったって……なにを」

「戦闘で貰える報奨金って、如月骨董品店専用の商品券なんだよ。だから、如月骨董品店でしか使えないんだよな」

「……なんだってェ?」

「近所の不良やキツネ憑きのお姉さんたちはともかく、なんで鬼だの夢魔だのまでが持ってるのかは知らないけどさ。裏の世界ではドルよりも信用のおける流通通貨らしいな」

「おいおい……」

「翡翠の店、どんな高価なアイテム持っていってもいっつも即金で買い取ってくれるだろ? そんなに流行ってるようには見えないのにけっこう金持ってるんだなと思ってたら、そういう事情があったらしいんだよな。いやぁ、人は見かけによらないねぇ。正真正銘、若旦那ってワケだ」

「そ、それで納得しないでくれよォ、ひーちゃん……」

「でもあの店、それこそ食べ物から週刊誌まで、それこそなんでも売ってるじゃないか。商品券でも、そんなにお金に困らないはずだけど?」

「商品券でナンパできるかよ……」

「あ、ナンパか。あははは、それは確かに現金じゃないとまずいよなあ」

「…………そこで、あっけらかんと笑い飛ばさないで欲しいんですけど……」

「え? もしかして、嫉妬でもして欲しかった?」

「……いや、もういい……」

「だって、京一のナンパなんて成功するはずないだろ? 妬くだけムダムダ」

「…………鬼」

 

 


■虚構文書■