拍手をありがとうございました。

memo-2/
 それが偶然だったのか必然だったのかは、わからない。
 あの時たまたま気が向いて、たまたまそこへと行かなければ、運命はまた違う面を見せてくれたのかもしれない。
 だが、もしあの時間にもう一度戻れたとしても、きっとまた同じ道を選ぶ。
 そう思っていたから、違う面を見ようとしたことなど一度もない。
「つまんないなー。ねー、昨日作ったやつ、試してみてもいい?」
「できれば御自重ください。ここは仮住まいにすぎませんから、木屋町の庵ほど強度がありません」
「そんなの、直せばいいんじゃん」
「それはそうなのですが、さすがに憲兵に目を付けられると思われます」
「それはめんどくさいなぁ……」
 こんななんてことのない日々の出来事にすら、幸せを感じられる。
 それは恵まれている証だと、そう思った。

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