最近のゲームよもやま話-1-


某サイトの某コーナーに掲載していた「お薦めのゲーム」より。
「らーよの部屋」にもっていくには煩悩度が低いのでこちらへ(笑)。

第1回お題 ◆ 幻想水滸伝


◇大切なものはなんですか?

 『幻想水滸伝』が世に出たのは、もうかなり昔の話だ。(C)表記を見ると「1995」と書いてあるので、かれこれ3年以上前という計算になる。PSのかなり初期の頃に出たRPGで、ずいぶん長い間、私の中ではPS最高のRPGだった。なんといっても、シナリオが良かった。はっきり言ってしまうと、むちゃくちゃ主人公に厳しい話だったのだが。

 赤月帝国の皇帝バルバロッサの片腕、テオ・マクドール将軍の一人息子である主人公は、幼なじみの少年・テッドから呪いの紋章「ソウルイーター」を託されて以来、帝国の宮廷魔術師ウィンディに追われる身となる。運命に流されるまま帝国から逃げていた少年は帝国の圧政に抵抗し続けるレジスタンスのリーダー・オデッサと会い、帝国の凶刃に倒れた彼女の遺志を引き継ぐ形で解放軍のリーダーとなって立ち上がった。
 ただし、その道は決して楽な道ではない。道を示してくれた人を失い、父と戦うことになり、幼なじみの親友は少年とソウルイーターを守るために自分の命を投げ出した。そして幼少の頃から自分を育て見守っていてくれた守り役のグレミオをも失うことになった少年は、それでも人々の希望と夢を背負い、前に進まなければならない。大切なものをひとつずつなくした代償としてこの地に平和をもたらした少年は、すべてが終わるとともに姿を消した……。
 「水滸伝」というタイトルの示す通り、主人公は108の宿星を背負った仲間を集めていくことになる。これは、『1』も『2』も変わらない。その108人の仲間をあるポイントまでに全員集められれば、微妙にシナリオの展開やエンディングが変わってくるのも『1』『2』共通だ。ただこの仲間集めがまた結構大変で、普通にシナリオを進めていけば自然と仲間になってくれるキャラもいれば、やたらめんどうな手順を踏まないと仲間になってくれないような難易度の高いキャラもいる。もちろん仲間を集めきれなくてもちゃんとエンディングは迎えられるが、108星をすべて集めてエンディングを迎える、これがこの幻想水滸伝シリーズの最大の目標でもある。ちなみに『1』で108星をすべて集めると、なんと主人公をかばって命を落とした守り役のグレミオが生き返るのだ。グレミオが死んでしまうシーンも涙ものだが、この復活シーンもかなり感動ものだったりする。なんせこの話、最初から最後までかなり主人公に厳しい展開が続くのだ。どうしても坊ちゃん(主人公のこと)びいきになってしまうプレイヤーにとっては、「うう、よかったね、ホントに」とついつい画面に向かって語りかけてしまいたくなる一瞬である(やや誇張気味)。

 そしてその『幻想水滸伝』の続編にあたる『幻想水滸伝2』が発売されたのは、昨年の12月のことだ。ずっと発売を心待ちにしていた私は、あまり胸を張って言ってはいけないのだろうが仕事を放り出して3日間、ひたすら幻想水滸伝2漬けの日々を送った。そして1回クリアしてから、今度は『幻想水滸伝』の1を開始している。『1』のクリア直前データがあればそれを『2』に引き継ぐことができるのだが、まず最初はデータをコンバートしないでやってみたわけだ。とりあえず1回クリアして満足したので、次の目標は108星集結。で、その2回目をはじめる前に、『1』のパーフェクトデータを作る作業からはじめることにしたのである。じつは『1』は3回くらいクリアしているのだが、なぜかパーフェクトデータが入ったメモリーカードが紛失していたから仕方ない。
 結局『1』を20時間かけてクリアしてから(ちゃんとグレミオも復活させた)、そのデータをコンバートして2回目の『2』を開始。今度はちゃんと『2』でもパーフェクトクリアすべく、1回目のプレイデータを参考にしながら慎重に進めていって、無事108星集結した状態でエンディングを迎えた。我ながら、約一週間以上『幻想水滸伝2』にかかりきりだったことになる。仕事以外のゲームで、ここまでのめりこんだのは久しぶりだ。
 この『2』の舞台は、前作の舞台だったトランのさらに北方、ジョウストン都市同盟とハイランド王国になる。幼なじみの少年ジョウイと共にハイランド王国の軍隊ユニコーン少年隊に所属していた主人公は、都市同盟との休戦同盟締結と共に故郷へ帰れるはずだった。ところがその前夜、敵襲に遭う。しかしその襲撃は、同じハイランド王国軍を束ねる狂皇子ルカ・ブライトが指揮するものだった。休戦同盟をよしとしないルカ・ブライトは、戦いを終わらせないために敵襲を演出したのだ……自国の少年兵を犠牲にして。真相を知ってしまった主人公とジョウイは、ハイランド軍に追われることになる。そんな彼らを助けたのは、ジョウストン都市同盟の盟主ミューズ市の傭兵隊長ビクトールと、副長のフリックだった。
 ちなみにこの『2』でも主人公に厳しいシナリオ展開は健在で、主人公とジョウイを助けてくれた傭兵隊の砦はルカ・ブライトに落とされるし、ふたつに分かたれた「始まりの紋章」である「輝く盾の紋章」と「黒き刃の紋章」を受け継いだ主人公とジョウイはそれぞれハイランドに抵抗する解放軍のリーダー、片やハイランド王国の皇王として対立することになる。それに主人公とジョウイの姉貴分である主人公の義姉ナナミも加わり、主人公は108星を集めつつこの地に平和をもたらすための戦いを続ける一方で、幼なじみのジョウイ、義姉のナナミを失わないための戦いも続ける必要があるのだ。プレイヤーが納得できる結末を迎えられるかどうか、それはプレイヤーの行動にかかっている。

 なお直接的にはストーリー展開には関係ないのだが、『1』のデータをコンバートしていると、中盤以降で『1』の主人公・坊ちゃんに会うことができる。グレミオを復活させていれば、当然グレミオも一緒に登場してくれる。さらにこの坊ちゃんとのサブイベントをクリアしておけば、その後グレッグミンスターに行くと坊ちゃんが仲間になってくれるのだ。『1』をプレイしたことがあるユーザー、特に坊ちゃんのファンには涙が出るほど嬉しいサービスである。
 しかも坊ちゃんと『2』の主人公、ふたりで「ダブルリーダー攻撃」という協力攻撃ができるのだが、これがまた強い。雑魚戦でこれを使って便利さに味をしめてしまうと、もう坊ちゃんなしではバトルができなくなってしまう。坊ちゃん自身も強いし、顔もむちゃくちゃかわいいし、もう言うことなしだ。『2』しかやったことがないという人は、『1』を買ってでもぜひ坊ちゃんに会ってみてほしい。

 最後になったがこの幻想水滸伝シリーズ、私は今でもPSのRPGの中ではいちばん出来のいいゲームじゃないかと思っている。やや痛いシナリオ展開といい、個性的なキャラクターたちが織りなす確立した人間関係といい、1プレイの時間はけっこうかかるのに、何度もやってみようという気にさせてくれる。108人も仲間がいれば当然一人や二人や三人は誰でもお気に入りキャラができるというもので、お気に入りキャラばかりをひいきして育てるという楽しみもある。仲間を集めることによって大きくなっていく本拠地システムという楽しみもあって、やりこむのにこれほど適したゲームもないだろう。『1』にも『2』にもけっこういわゆる「プログラムの不具合(ぶっちゃけて言えば『バグ』)」が多いのは困ったものだが、致命的なものには今のところ遭遇していない。
 人によっては「地味だ」と言うかもしれないが、別に地味でもいいのではないだろうか? 世の中猫も杓子もポリゴンなせいか「いまどきのゲームで3Dじゃないなんて」という人もいるが、RPGに3Dは必ずしも必要ではない。別にフィールドやキャラがポリゴンでなくても、戦闘時の魔法効果などに使われているだけで十分である。個人的には、このくらいにとどめておいてくれた方が好きだったりする。ポリゴンの人間キャラも格闘ゲームレベルまで綺麗にモデリングされていれば抵抗もないし素直に受け入れられるが、三角と四角を組み合わせたようにしか見えないSDレベルのポリゴン人間キャラは、やっぱり何度見ても納得できない。それなら、2Dで細かく描き込まれたドット絵の方がよっぽど好きだ。まあこれらはまったくの個人的意見だが、「いまどき3Dじゃなきゃ」という人もいる一方で、「3Dうんぬんはあまり興味ない」というユーザーもいるのだ、ということは覚えておいてほしいものだ。


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