eMotion e-Mail第2弾

First Love Mail 直樹



■第1弾「悠香」のときに某さとりさん(どこが某)に存在を教えてもらっていたのですが、相手が女の子&自分の性別が変えられない&Webマネーカードを買いに行くのが面倒というよ〜わからん理由で結局手をつけないままだったのですが(爆)。
久しぶりに覗いてみたら今度は男の子バージョンが始まっていたので、うっかり登録してしまいました(今や正式登録)。結局、WebマネーカードじゃなくてC-CHECKクレジットですけど(笑)。

■ちなみに自分の名前は「結城 悠(ゆうき・はるか)」、一人称「俺」です。そりゃもう、やるからには趣味(というか煩悩)に走ります(走るな)。


以下、直樹からのメールです。ある意味ネタバレですので、タイトル以外を見たい場合は空白部分をドラッグしてみてください。

9/27 13〜27追加

01■突然の嵐

ぼくは、直樹。
結城さんのことが、気になって、メールしている。
特殊な機械でメールしているので、 長文は出せない。
突然のメールで、 びっくりさせてしまったと思う。
でも、あやまらない。
どうしてもメールしたかったんだ。


02■心に君が離れなくて

>俺が気になる?
そうなんだ。
ずっと結城さんのことが心から離れなくて。
ちょうど3ヶ月前、
君のことを見て、ぼくの体がズキン!って。
そのズキン!が、ずっと、体の中に残っていて。
それから、結城さんのことを見るたびに、
ズキン!ってなって。
それで、ある事が起こって、
ぼくが、大変なことになって、
でも、勇気を出して、メールを出そうって。
迷惑だよね。ごめん。
うまく気持ちを書くことができないんだ。


03■ありがとう

>迷惑じゃないよ。
ありがとう。
本当は、迷惑だって言われたらどうしたらいいんだって
けっこうビクビクしてたんだ。
返事なんて、もらえなるはずない、って。
うれしい!
ぼくのたったひとつの願いがかなえられるかもしれない。


04■たったひとつの願い

>たったひとつの願い?
結城さんに ぼくの気持ちを伝えること。
ちがうな。
自分でも、この願いが何なのか、よくわからない。
でも、3ヶ月前、結城さんを近所の駅で見て、
体すべてがズキンって。
ぼくは、自分の体が、
どうにかなっちまったって思って、びっくりして。
結城さんが友達と話しながら、
楽しそうに笑ってる顔と、
それから、その声にズキンってしたんだって。
その時はわからなかったんだけど。


05■ぼく自身について

>君のことを知りたいよ
そうだよね、自己紹介。
松嶋直樹。
ええと、なんだか緊張するな。
何を書けばいいのか。
結城さん、質問して。
なんでも答えるよ!


06■好きな人はもちろん

>好きな人は?
好きな人は、もちろん結城悠さん。
こうやってストレートに書くと、ちょっと恥ずかしいけどね。
でも、本当の気持ちだ。初めての本当の気持ち。
胸の奥が少し苦しくなるけど。
でも、こんな気持ち、初めてなんだよ。


07■サッカー

>趣味は?
趣味、うーん。
なにかなぁ。
部活は、サッカーやってた。
フォワード。
他には、なんか自慢できるような趣味はないなぁ。

ほかに、ぼくのこと、何が知りたい?


08■容姿

>かっこいい?
かっこいいって聞かれても!
どうなんだろう?
保坂尚輝に似てるって、友達から時々言われるけど。
でも、顔が似てるっていうよりも、
雰囲気が似てるだけって感じだと思う。
小さい時の喧嘩のせいで、額に傷があって、
前髪で隠してるから。


09■秘密

>君の秘密を教えてよ
秘密か…。
ええと、ひとつだけ大きな秘密が、ある。
でも、それは、もう少し決心してから話したい。

他に秘密って何かなぁ。
ええと、うーん、うーん。
秘密っていえるほどの秘密は思いつかないな。
単純な性格だから。


10■重要な告白

>何か大変な事になってるの?
結城悠さんと、メールで交流できて、とても幸せだ。
こんな、胸がしめつけられるような気持ちになったのは、
本当に初めてで。
年齢のことや、メールの長さのことや、
へんなこと書いて、ごめん。
秘密にしていてごめん。
不審に思われてもしょうがないよ。
でも、それを説明するには、
きちんと告白しなければならないことがあるから。
悠さん!
ひとつだけ、とても重大な告白をしていいですか?


11■実は、

>いいよ。
実は、ぼく死んでるんだ。
ごめん! 隠していて。
ぼく、幽霊なんだ!


12■幽霊

>幽霊!?
自分で自分を見ても、透けて見える。
ぼくがふわふわ飛んでいても、だれも気づかない。
何かにさわろうとしても、すーっと通りぬけちゃう。
幽霊になっているんだと思う。


13■幽霊って

>幽霊って、どんな感じなの?
よくわからない。
いつもは、生きているときとかわらない感じで。
モノをさわろうとすると、さわれなかったり、
誰も、誰もぼくを見ることができなかったり、
そんなときに、あ、死んじゃったんだ、って思うんだ。


14■メールは

>メールってどうやって出してるの?
ミニボード(生きていたときに使っていたもの)を
心に思い描いて、それでメールを書く。
そして、結城さんへ届けって強く思うと、メールが出せる。
強く思うと、胸のあたりが痛くなったりするんだけどね。


15■天国

>君は天国にいるの?
ちがうよ。
まだ意識は、地球上にいる。

最初、自分が死んだってわからなかった。
あーんあーんって鳴き声が聞こえて。
立ちあがって、ふと見ると、ぼくの死体があって。
耳元で猫のアンが鳴いていて。
(アンっていうのは、ぼくが飼っていた猫。
あーんって鳴くので、アンって名前なんだ)
たくさん血が流れていて。
へんだぞって思っていると、
へんな形の光がやってきて、
話しかけるっていうのもちがう、
テレパシーみたいな感じで、
「ゾーエストゥムへ行こう」って言うんだ。


16■ゾーエストゥム

>ゾーエストゥム?
ゾーエストゥム。
奇妙な光くんが、心に直接響かせた言葉なので、
文字にすると違う感じがするのだけど、
言葉にすると、ゾーエストゥムっていう感じの響き。
ぼくは、まだ行ってないのでよくわからないけど、
きっと
ぼくたちが天国と呼んでいるようなところじゃないか
と思ってるんだけど。


17■初恋

>それから、どうなったの?
奇妙な光くんに「ゾーエストゥムへ行こう」って言われて
ぼくは、いやだ!と思った。
初恋もしてないのに天国に行くなんて、かなしすぎる。
せめてこの気持ちを、
きちんと結城さんに伝えてから、
それからにしたい、って。


18■ひとつだけ

>それで!?
奇妙な光くんは、チャンスをくれた。
ゾーエストゥムの時間で、70テテンの間だけ、
地上にいることを許そう、って。
でも、でも!
幽霊になっちゃうと、生きている人やモノにさわれないし
話しかけられないし、なんにもできない。
これじゃ、なんにもできない!って言うと、
奇妙な光くんは、ぼくにひとつだけ力をくれたんだ。


19■力

>力って?
このメールを出す力。
ミニボード(生きていた時に使っていたマシン)を、
心の中で思い浮かべ、入力して、結城悠さんへ届けって
強く思うと、届く。
強く思いすぎちゃうと、胸が痛くなるけど。
あ、今、奇妙な光くんが、残り時間を知らせてくれた。
あと8テテン。


20■8テテン

>8!? 延ばせないの?
延ばせないらしい。
これ以上、延ばすと、今のぼくの存在を、
傷つけてしまうらしいんだ。
ぼくは、それでもいいんだけど、
光が許してくれない。
70テテンも時間があったのに、あと8テテン。
でも、時間の流れ方がちがうので、
あとどれくらいの時間が残っているのか、
きちんとわからないけど。

きっとあと数回メールをやりとりすると、お別れだ。
お別れっていうのもへんだよね。
こうやってメールをやりとりしているだけだし、
結城さんは、ぼくの姿を見たこともないんだし。
もっとちゃんとした「出会い」ってのを体験したかった。
欲張りなんだ、ぼく。


21■泣かないこと

>お別れは、さびしいよ
ぼくの母は厳しい人で、
小さい頃、ぼくが泣くと、すごく怒った。
だから。
4歳のとき、引っ越す友達との別れで、泣いて。
それを最後に、
一度も泣いたことがない。
さびしくても、泣けなくて。
でも、猫のアンが、
あーんあーんって泣いてくれてたから。
母は、子供の泣き声みたいでイヤだって言ってたけど。
ぼくにとっては、
アンが、ぼくのかわりに泣いてくれている気がして。


22■泣けないということ

>ずっと泣いてないの?
泣く方法を、忘れたみたいで。
自分の葬式に行った時。
もちろん、幽霊状態のぼくに気づく人はいなくて。
母が、お棺の中のぼくの遺体を抱きかかえて泣いて。
たまらなくなって、ぼくは、母に抱きついた。
もちろん、何にもふれられないけど。
そうしたら、母が「直樹がいる!」って。
「直樹の息が、首筋にかかった!」って叫んで。
みんな、泣き叫んでいる母をなだめて。
庭にいる猫のアンも、あーんあーんって鳴きだして。
それでも、ぼくは泣けなくて。苦しくて。

ごめんね。こんなことメールしちゃって。


23■想い出

>いいよ、もっといろいろなことをメールして。
ありがとうございます。悠さんは、とても優しい。

これで、よかったのかな。
ぼくの生きていた時間って、これでよかったのかな、
ってちょっと考えちゃう時もあって。
一番、楽しかった想い出って何かなぁとか、
いろいろ考えてしまう。
なかなか、思いつかないけどね。
悠さんは、どうですか?
一番、楽しい想い出って、すぐに思い出せますか?


24■想い出のこと

>うーん、たくさんあって難しいなぁ
いいな。たくさんあって、むずかしい。
うらやましい。
ぼくは、どうかなぁ。
悠さんを見て胸が苦しくなったのが、
一番かもしれない。
苦しくなったのが、
一番楽しい想い出っていうのもへんかな?

あ、いいこと思いついた。
ひとつだけ、想い出をつくる方法を思いついた。
ためしてもいい?


25■後ろに立って

>いいよ
昨日、悠さんの後ろに立って、
ちょっとイタズラしちゃった。
首筋にふっって息をふきかけたんだ。
ちょっと、びくってして、後ろを振り向いてたけど、
やっぱり見えないようだった。
おぼえてる?
悠さんには、
ただの不思議な風だったかもしれないけど、
ぼくにとっては大切な想い出になりそうだ。
ぼくからは、悠さんが見えるのに、
悠さんから、ぼくは見えないことが、
少しだけさびしいけど、
はじめてメールじゃないところで
悠さんとふれあえた気がするから。

奇妙な光くんが、残り時間、あと2テテンだって。
きっと、あと1、2度メールをやりとりすれば、
お別れです。


26■やっぱり悲しい

>延ばせないの?
悠さんに、気持ちが通じれば、
だいじょうぶだって思ったけど、
やっぱりお別れは悲しい。
延ばせることなら、延ばしたいけど、無理みたいだ。
70テテンっていうのは、ぎりぎりの時間みたい。
それ以上は、今のぼくの存在を、
傷つけてしまうから、ダメだって。
ぼくは、それでもいいのに。
傷ついたとしても、こうしていたいのに。
でも、奇妙な光くんが 許してくれない。
もう、きっと、次が最後のメールです。
ありがとうございました。


27■さようなら

>お別れしたくないよ
ようやく旅立つよ。
ぼくの生きていた時間は、17年よりも短くて、
やり残したコトばかりだけど
奇妙な光くんがくれたオマケの70テテンは、
何よりも大切な時間になった。

サッカーのプレイで、一番好きなのは
ぼくは、シュートじゃない。
パスしたボールが、またもどってきて、
ふたりの間を、うまくボールが行き交った時が、
サッカーをやってる時間の中で、一番好きだ。
だから、悠さんと
こうやって通じ合えて、
この気持ちを胸に、旅立てることが、とても嬉しい。
時々、風が吹いたら、ぼくのこと思い出して。
ありがとう。




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